FileMaker ServerをmacOSにインストールする際、適切な設定と最適化は欠かせません。この記事では、インストールの手順から最適化のポイントまでを詳しく解説します。これらのステップを踏むことで、FileMaker Serverのパフォーマンスを最大限に引き出し、安定した運用を実現しましょう。
インストール前の準備
まずは、インストール前に必要な準備を整えましょう。
- インストールディスク
- FileMaker Server用マシン
- アドミンコンソール アカウント
1.インストールディスク(ファイル)
インストールファイルはClaris Storeから送信されるメール(【Claris Store Japan】ご注文完了のご連絡)に記載されている「ダウンロード情報 以下のリンクをクリックすると」のリンク先ページからダウンロードできます。
このページにインストールディスクイメージとライセンス証明書ファイルのダウンロードリンクがあります。
2.FileMaker Server用マシン(システム要件の確認)
FileMaker Serverをインストールするマシンが、Claris FileMakerの技術仕様を満たしていることを確認します。例えば、最新のMac mini(2023年モデル)は以下の仕様を持っています。
- プロセッサ: Apple M2チップ (8コアCPU) または M2 Proチップ (10コアCPU、12コアCPUに構成可能)
- メモリ: 8GB (M2モデル、16GBまたは24GBに構成可能) または 16GB (M2 Proモデル、32GBに構成可能)
- ストレージ: 256GB SSD (M2モデル) または 512GB SSD (M2 Proモデル)、さらに大容量に構成可能
- オペレーティングシステム: macOS Sonoma
利用規模によりますがM2チップ以上、16GBメモリ以上、512GB以上は必要になることが多いと思います。
アドミンコンソール アカウント
FileMaker ServerアドミンコンソールはFileMaker Serverの運用を管理設定ができます。ブラウザからログインするので事前にアカウント、パスワード、再設定用PINを決めておきましょう。
FileMaker Server用マシンの設定
FileMaker Server用マシンはデータベースサーバーとして専用のマシンでの運用をおすすめします。
これは、他のソフトウェアやネットワークが同じマシン上で動作するとFileMaker Serverのパフォーマンスが低下する可能性やトラブルが発生した場合の原因究明が複雑になることががあるためです。
またセキュリティ的に考えてデータベース(情報)が保存されているマシンを他の用途で使うのは好ましくないでしょう。
1. スリープモードの無効化
スリープおよび休止モード、ハードドライブスリープ、スクリーンセーバーを無効にします。これにより、サーバーのパフォーマンスが維持されます。
2. ネットワーク設定の確認(IPアドレスの割り当て)
使用するIPアドレスの範囲、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、およびDNSサーバーの情報を確認します。これらの情報は、ルーターの管理画面やネットワーク管理者から取得できます。
ServerマシンにLAN内で固定のIPアドレスのを割り当てます。
- macOSの「システム環境設定」から「ネットワーク」を選択し、使用するネットワークデバイス(例:有線LANまたはWi-Fi)を選択します
- 「詳細」ボタンをクリックし、「TCP/IP」タブを選択します
- 「IPv4の設定」を「DHCPサーバーを使用(アドレスは手入力)」または「手入力」に変更して、IPアドレス(サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバー)の情報を入力します。
IPアドレスをDHCPサーバーが自動的に割り当てる範囲外のアドレスを利用することにより、IPアドレスの競合を避けることができます。
また、IPアドレスの割り当ては通信デバイスごとに設定する必要があります。例えば有線LANとWi-Fiがある場合、運用で使うネットワークにIPアドレスを割り当てます。
すべての情報を入力したら、「OK」ボタンをクリックし、「適用」を選択して設定を保存します。
インストール
ダウンロードしたインストールファイルをダブルクリックしてインストールを開始します。
インストーラーに従って進めていけばインストール完了です
補足
FileMaker Serverを最適化するための追加のヒントをいくつか紹介します。
ユーザーアカウントの設定
FileMaker Serverのユーザーアカウントとして指定するアカウントは、ローカルユーザーアカウントであり、fmserverアカウントと同じ権限を持つ必要があります。ディレクトリサービス(例:Active DirectoryやOpen Directory)からのアカウントは使用できません。
Bonjourのインストール
macOSでは、Bonjourがインストールされ有効になっている必要があります。Bonjourがインストールされていない場合、FileMaker Serverのインストールができません。
ファイル共有を無効化
FileMaker Serverのデータベースサーバーコンポーネントは、FileMakerデータベースに直接アクセスし、FileMakerクライアントによるネットワークアクセスを管理します。ファイル共有は必要ないため、無効化します。
Spotlightをオフにする
SpotlightインデックスはFileMaker Serverのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。Spotlightサービスを無効にすることで、パフォーマンスの低下を防ぎます。
Time Machineのバックアップから除外
Time MachineはライブのFileMakerデータベースのバックアップに適していません。データベースが格納されている場所をTime Machineのバックアップから除外する設定を行います。
Dashboardアプリケーションを終了
Dashboardアプリケーションはウィジェットを実行し、システムリソースを消費します。ログアウトするか、Dashboardアプリケーションを終了します。
ネットワーク計画
固定IPアドレスを設定する前に、ネットワーク全体のIPアドレス計画を立てることが重要です。IPアドレスの競合や重複を避けるため、使用するIPアドレス範囲を明確に定義します。
セキュリティ対策
固定IPアドレスは動的IPアドレスよりも追跡されやすく、攻撃の対象になる可能性があります。ファイアウォールの設定やアクセス制御リスト(ACL)を使用して、サーバーのセキュリティを強化します。
ドキュメントの管理
固定IPアドレスを設定したデバイスの情報をドキュメント化し、管理します。これにより、将来的なトラブルシューティングやネットワーク変更時の管理が容易になります。
まとめ
FileMaker ServerをmacOSにインストールし、効率的かつ安全に運用するためには、適切な準備と設定が欠かせません。この記事で紹介した手順とヒントを参考に、スムーズなインストールと最適化を実現してください。これにより、FileMaker Serverのパフォーマンスを最大限に引き出し、安定した運用を確保することができます。
この記事は実際2024年8月にFileMakerServer21をインストールしたときのメモです。手順や注意事項を網羅している記事ではありません。実際のインストールは公式マニュアルをご参考ください。
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